家の寿命は何年?木造・鉄骨・鉄筋の耐用年数について解説

投稿日:2021年11月30日

持ち家の寿命について、「木造なら20年」といった話を耳にしたことのある方もいるでしょう。

 

ただし、世の中には築20年を越える一戸建てやマンションが無数に存在します。

欠陥住宅でもない限り、築20年で家が崩れ落ちてしまうことなどまずありません。

では何故住宅の寿命が20年といわれているのかというと、税務・会計上の資産価値を管理するために作られた「耐用年数」と寿命が混同されているから。

築年数が耐用年数を越えても、適切にメンテナンスをしていれば不動産は何十年も長く利用可能です。

 

この記事では、耐用年数と寿命の違い、木造・鉄骨・鉄筋の耐用年数や持ち家を長持ちさせるメンテナンスの重要性、寿命の近づいた住まいの扱い方について解説します。

 

 

目安の耐用年数と本当の耐用年数は違う?

 

減価償却の計算に使われる「法定耐用年数」とは

 

一般的に住宅の寿命だとされているのは、「法定耐用年数」という基準です。

法定耐用年数とは、不動産を始めとした高額な資産をビジネスに使う際、購入額を法定耐用年数で割って長期間少しずつ経費にできるようにするもの。

日本の税制上、申告と納税は原則として1年間に得た売上と支払った経費を使って納税額を計算します。

 

ただ、使えばなくなってしまう消耗品と違って、高額な資産は何年何十年と利用できるため、たとえばある年に新店舗やオフィスビルを所有した場合、支払った全額をその年の経費にしても良いのかという問題が出てしまうのです。

不動産の資産価値が1年でゼロになるのは不自然ですし、高額な投資を1年分の経費としてしか使えないと、事業者の負担が大きくなってしまいます。

そこで、高額な資産に関しては国に指定された法定耐用年数を使い、毎年少しずつ帳簿上の資産価値が減少していく減価償却という調整方法を採用しているわけです。

たとえば、木造住宅の法定耐用年数は22年となっています。

購入後、毎年資産価値が少しずつ減っていき、22年後に帳簿上の資産価値がほぼゼロになってしまうため、法定耐用年数を寿命として扱う流れがあるのです。

 

法定耐用年数という考え方は、あくまでも税務・会計上の帳尻を合わせるためのものなので、法定耐用年数と実際の寿命は違います。

ただし、法定耐用年数を知っていると不動産投資をする際などに役立ちますし、耐用年数を過ぎた不動産はローンを組みづらいといったデメリットも増えてくるため、法定耐用年数のことも知っておきましょう。

 

木造・鉄骨・鉄筋コンクリートそれぞれの住宅の寿命

 

政府によって公表されている不動産の法定耐用年数は、以下の通りです。※1

 

・木造:22年

・軽量鉄骨造(鉄骨の厚み3ミリ以下):19年

・軽量鉄骨造(鉄骨の厚み3ミリ~4ミリ以下):27年

・重量鉄骨造(骨格材肉厚4ミリ超):34年

・鉄筋コンクリート造:47年

 

一般住宅は、上記の年数が帳簿上の寿命となります。

中古不動産市場でも、「耐用年数をオーバーした物件」は資産価値がほぼゼロに近い状態になってしまうため、見た目がきれいでも担保としての評価をしてもらえません。

不動産を売るときは建物部分の評価額が大幅に下がってしまい、逆に買うときは担保評価の低さから住宅ローンを組みづらくなってしまうため、不動産を売買する場合はなるべく「築年数が法定耐用年数以内」の物件を選ぶと良いでしょう。

 

1998年に耐用年数が短縮された

 

なお、法定耐用年数は1998年の法改正によって数年ほど短縮されています。

理由は、利用される建築材や建築技術の変化に対応するため。

法改正前の法定耐用年数は現在のものより長く設定されていますが、これは現在では使用されていない建材を前提にした強度計算が行われていたからです。

参考までに、法改正前の法定耐用年数も見てみましょう。

 

・木造:24年

・軽量鉄骨造(鉄骨の厚み3ミリ以下):20年

・軽量鉄骨造(鉄骨の厚み3ミリ~4ミリ以下):30年

・重量鉄骨造(骨格材肉厚4ミリ超):40年

・鉄筋コンクリート造:60年

 

特に大きく変化しているのが、鉄筋コンクリート造の建物です。

鉄筋コンクリート造は強度が高く、高層マンション等に利用されています。

住まいの実質的な寿命は、木造や軽量鉄骨造なら30年、鉄筋コンクリート造なら40年から90年ほどとされるのが一般的。

不動産の寿命が外から見てもわからないものである以上、法定耐用年数は実際の寿命よりも余裕を持っておく必要があります。

 

※1 e-Gov:減価償却資産の耐用年数等に関する省令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340M50000040015

 

 

店舗・住宅用建物の法定耐用年数

 

店舗併用物件に関しては、完全居住用の不動産と法定耐用年数が違うため、注意が必要です。

たとえば、「2世帯住宅を建てて2階部分を他人に貸す」「家の1階を店舗用のフロアとして使い、2階で生活する」といったケースでは、ビジネスをする以上不動産の購入金額を経費や資産として処理する必要があるため、法定耐用年数の把握が欠かせません。

ただ、業種によって耐用年数の設定が異なるため、ここでは一例をご紹介します。

 

○木造

・宿泊所等としての利用:22年

・飲食店:20年

・店舗用:22年

 

○軽量鉄骨造(鉄骨の厚み3ミリ以下)

・宿泊所等としての利用:27年

・飲食店:25年

・店舗用:27年

 

○軽量鉄骨造(鉄骨の厚み3ミリ~4ミリ以下)

・宿泊所等としての利用:19年

・飲食店:19年

・店舗用:19年

 

○鉄筋コンクリート造

・宿泊所等としての利用:47年

・飲食店:34~41年

・店舗用:39年

 

オフィス利用などを除くと、基本的に居住用の建物より事業用建物の方が耐用年数は短くなっているのが特徴です。

一日の利用者数が多かったり、日常生活では利用しない大量の水や電力などを利用したりするため、事業用の店舗や店舗併用物件に関しては特に法定耐用年数の年数を気にする必要があります。

 

 

メンテナンス次第で建物の実際の寿命は変わる

 

定期点検で住宅の状態をチェック

建物の寿命は、メンテナンスの頻度と有無次第。木造住宅でも、物件によっては解体されるまで60年以上保ちます。

国の方針も次々と家を建て替えるのではなく、一つの住宅をできるだけ長持ちさせる方向へと不動産の評価が変わりつつあるため、不動産を持つなら定期メンテナンスが必要不可欠です。

 

そこでおすすめしたいのが、業者を読んでの定期点検。

素人の目から見てわからないような不具合も、プロに見てもらえばすぐに対処できます。

住宅設備の多くは15年ほどで耐用年数が終わり、故障の確率が高くなってくるため、おおよそ10年から15年に一度は外壁の塗り直しや水回りの設備交換等を行いましょう。

 

小さなトラブルは小さな内に対処しよう

壁に付いた小さな亀裂や雨樋の故障、排水溝のつまりといった一見小さなトラブルは、放置していると壁のヒビ割れや雨水の侵入といった大きな被害につながりかねません。

住宅に使われている建材は、基本的に劣化してから補強をしても元の強度には戻らないので、住宅を健全に維持するためには小さなトラブルの芽を摘むことが重要です。

そのため、普段からこまめに家の内外を掃除し、目視で何か問題がないかチェックする癖をつけましょう。

 

住まいの立地や環境に合わせたメンテナンスが必要

住宅のメンテナンスは、周辺環境に合わせて工夫することも大切です。

海辺の家ならサビ対策に力を入れる、日差しが強い方向の壁は定期的に塗料の劣化をチェックするなど、立地や環境に合わせたお手入れができるようになると、住まいの状態を保てます。

 

ただし、環境の影響で家のどの部分が早く劣化していくのかは専門家でもないとなかなかわからないので、不動産を購入するときに業者へ質問し、注意しておくべきポイントを教えてもらいましょう。

 

 

寿命が近づいた家はどうすればいい?

 

選択肢①建て替える

現在の立地を気に入っている、高齢の親がいるため住環境を大きく変えたくないといった場合におすすめしたいのが、建て替えです。

建物が老朽化によって住めない状態になっていても、建て替えてしまえば新築なので、再び数十年快適に暮らしていけます。

元々の持ち家を建て替える場合、土地の購入代金を予算に含めなくて良いのもポイント。

解体工事と建築工事の費用がかかってしまいますが、一般住宅なら解体工事の費用は数百万円程度です。

新築する場合は住宅ローンを組めるので、家の間取りを大きく変えたい、新築にしたいといったケースなら建て替えを選ぶと良いでしょう。

 

選択肢②売却する

寿命を迎える前に売却してしまうのも一つの手です。

耐用年数を越えて寿命の近づいた住宅は、ほぼ上物の価値がゼロになってしまいます。

ただ、土地自体に価値があるので、立地次第では高額売却も夢ではありません。

特に、賃貸物件経営をしていて出口戦略として売却を検討する場合は、できるだけ早く売却活動を始めましょう。

一般住宅と違って、アパートやマンションの建て替えには莫大な費用がかかります。

入居者を募集しても集まらない物件は売り出しても二束三文にしかならず、ひたすら維持費が出ていく負の動産になってしまうため、ある程度集客できる内に売った方が良いでしょう。

 

選択肢③更地にする

思い切って建物を解体し、更地にしてしまうという方法もあります。

更地にすれば、少なくとも建物の老朽化に伴う崩落などのリスクを考える必要がありません。

また、立地の良い土地なら、建物がある状態よりも更地の状態で売り出した方が好条件で売却できます。

更地にした後、マイホームを建てたり賃貸物件を建築したり、駐車場を作ったりと活用の幅も広がるため、土地活用を視野に入れている場合は解体工事も検討してみましょう。

 

 

まとめ

 

家の寿命は、木造ならおおよそ30年、鉄筋コンクリート造のマンションでも40年程度です。

 

ただし、住宅の寿命はメンテナンス次第で1.5倍にも2倍にも伸ばせます。

また、不動産の世界では、法定耐用年数をオーバーした不動産は資産価値がほぼゼロ扱いになったり、建物を担保にしてローンを組むのが難しくなったりします。

そのため、不動産を売買するときは寿命だけでなく、耐用年数がどれくらい残っているのかという点にも注目しましょう。

 

ご閲覧ありがとうございます。
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