家づくりにおいて、断熱性能を考えることは大切ですよね。
しかし、断熱性能がどのくらいかを知るためには、断熱性能に関する指標を知っておく必要があります。
今回は、UA値とはどのようなものか、断熱等性能等級はUA値とどのような関わりがあるのかを解説します。
また、断熱性能を示すUA値とQ値の関係も解説します。
□断熱性能を表すUA値の正体は?
建物の断熱性能を考える際に聞いたことのあるUA値とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
UA値とは、建物が損失する熱量の合計を、外皮面積で割った数字を表します。
建物が損失する熱量とは、住宅内の床・壁・天井・窓などから外へ逃げる熱量のことです。
外皮面積とは、床・壁・天井・窓などの熱的境界(熱的に判断する住宅の外と中の境界線)に接する面積のことです。
これが小さいほど熱が逃げにくいことを表しています。
つまり、UA値の小さい家は、建物が省エネな家であることが分かります。
□断熱等性能等級とは?
UA値と併せて、断熱等性能等級について、皆さんは聞いたことがあるでしょうか。
断熱等性能等級とは、断熱性能に関わる指標の1つです。
エリアごとに断熱等性能等級とUA値の関係が異なるため、ここではエリアが関東から九州北部(石川県エリアを含む)を前提として見ていきましょう。
*断熱等性能等級とUA値の関係を解説します!
それでは、断熱等性能等級のうち、3~7を順番に解説します。
断熱等性能等級4とは、UA値が0.87以下のときのことです。
省エネ基準ではありますが、そこまで厳しい基準ではありません。
断熱等性能等級5とは、UA値が0.6以下のときのことです。
UA値0.6以下は、ZEH基準と同様の断熱性能です。
2022年秋には、長期優良住宅の必須条件になるでしょう。
断熱等性能等級6とは、UA値が0.46以下のときのことです。
断熱等性能等級7とは、UA値が0.26以下のときのことです。
*断熱等性能等級はどこまで必要?
断熱等性能等級は高いほど、UA値は小さいほど、断熱性能は高い建物であると言えるでしょう。
しかし、断熱性能と費用の関係、つまりはコストパフォーマンスの問題が出てくるのです。
例えば、UA値が0.5を下回ってくると、その分費用が大きくなってきます。
UA値が0.5を上回ってくると、そこまで費用をかけずに実現できるでしょう。
UA値が0.5とは、断熱等性能等級が5と6の間です。
程よい断熱性能を期待するのであれば、この辺りの数値を目標にすると良いでしょう。
□UA値とQ値の違いとは?
ここでは、Q値や、Q値とUA値の関係について解説します。
*Q値とは?
Q値とは、建物が損失する熱量の合計を、延べ床面積で割った数字を表します。
建物が損失する熱量とは、住宅内の床・壁・天井・換気などから外へ逃げる熱量のことです。
UA値と同様に、数値が小さいほど断熱性能があることを示す指標です。
*UA値とQ値は何が異なる?
それでは、UA値とQ値はどのようなところで異なるのでしょうか。
数値を計算するときの分母と分子に分けて、両者の違いを考えていきましょう。
UA値は分母に外皮面積を、Q値は分母に延べ床面積を用います。
建物の形が異なる2つの家があるとしても、外皮面積は同じです。
外皮面積が同じとは、分母の大小でUA値の良し悪しが変わることは無いことを表しています。
そのため、UA値は正しく断熱性能を知るのに役立つ指標です。
一方、天井が高い建物や吹き抜けのある建物の場合、延べ床面積が小さくなります。
分母の延べ床面積が小さくなるとは、Q値が大きくなることを表し、断熱性能が悪いことになります。
もし建物の形が単純であれば、延べ床面積は大きくなり、Q値は小さく、良い数値が出てくるでしょう。
そうすると、単にQ値が小さくても、断熱性能がそこまで高いのかは疑問符です。
UA値は、分子に換気による熱損失を含んでいません。
そのため、UA値が同じ建物であっても、換気システムが異なれば、住みやすさや費用は異なるでしょう。
一方、Q値は、換気による熱損失を含んで計算をします。
そのため、換気までも含む断熱性能を知れる指標と言えるでしょう。
□まとめ
今回は、UA値とはどのようなものか、断熱等性能等級はUA値とどのような関わりがあるのかを解説しました。
UA値は建物が損失する熱量の合計を外皮面積で割った数字で、断熱等性能等級はUA値とエリアによって決まります。
また、UA値とQ値の計算方法は似ているものの、明確な違いがあることが分かりました。