投稿日:2021年01月29日
夫婦共働きの家庭が増え、「二人で協力して住宅ローンを返済できるので、借入額をアップさせたい」と希望する夫婦も増えています。
借入れ可能額が増えれば、立地や広さ、デザインなど、購入できる家の選択肢が広がります。
理想のマイホームが手に入るなら、夫婦ともにバリバリと働いてローン返済を頑張ろうというモチベーションも上がりますね。
金融機関ではこのような共働き夫婦の希望に応えて、「夫婦ペアローン」を用意しています。
そして夫婦ペアローンの他にも、収入合算して借入額をアップできる住宅ローンがあります。
ここでは、共働き夫婦が住宅ローンを組む際の選択肢と、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。
一つの世帯で住宅ローンを組む場合、以下の4つの選択肢があります。
・一人でローンを組む
・収入合算で連帯保証型
・収入合算で連帯債務型
・夫婦ペアローン
夫婦のうち一人が単独名義で借入れを行う、シンプルなローンの組み方です。
ローン契約者本人の年齢や収入で審査を行い、借入れ可能額が決まります。
夫婦のうち一人が単独名義で借入れを行い、もう一人が連帯保証人となるローンの組み方です。
夫婦の収入を合算して審査を行い、一人でローンを組むよりも大きな額が借入れ可能となります。
連帯保証人は直接返済の義務はありませんが、ローン名義人が返済不能となった場合は返済義務を負うことになります。
夫婦二人の名義で借入れを行うローンの組み方で、夫婦の収入を合算して審査を行います。
連帯保証型と違い、夫婦が二人とも借入金額全額に対して返済の義務があります。
夫婦がそれぞれの名義で借入れを行うローンの組み方です。
夫は夫の収入をもとに審査を、妻は妻の収入をもとに審査を行い、それぞれ借入れ可能額が決定します。
ローン契約は2本立てで、夫婦のそれぞれが金融機関とローンの契約を結びます。
夫婦それぞれが、自分名義の借入れに対して返済の義務があります。
それぞれのローンの組み方の特徴について、夫を主たる債務者となる場合で整理すると次のようになります。
(妻が主たる債務者となる場合は、夫と妻を入れ替えて考えてください)
単独ローン |
連帯保証型 |
連帯債務型 |
ペアローン |
|||||
夫 |
妻 |
夫 |
妻 |
夫 |
妻 |
夫 |
妻 |
|
ローン名義 |
〇 |
× |
〇 |
× |
〇 |
〇 |
〇 |
|
返済義務 |
〇 |
× |
〇 |
△ |
〇 |
〇 |
〇 |
|
所有権 |
〇 |
×※1 |
〇 |
×※1 |
〇※1 (共有名義) |
〇※1 (共有名義) |
||
住宅ローン控除 |
〇 |
× |
〇 |
× |
〇※2 |
〇※2 |
〇※2 |
〇※2 |
団体信用生命保険 |
〇 |
× |
〇 |
× |
〇 |
△ |
〇 |
〇 |
※1 共有名義の場合、出資額(ローン負担額)の割合に応じて共有持分を設定します。夫の単独名義でローンを契約した場合でも、妻が頭金を出した場合は妻の持分を設定するのが一般的です。
※2 それぞれの共有持分に応じて適用されます。
ローンの組み方を選ぶ際は、上記の特徴を抑えつつ将来のライフスタイルの変化やリスクに備えた選択が必要です。
それぞれのローンの組み方にどのようなメリット・デメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
夫または妻の単独名義で組む住宅ローンは、金融機関が用意する基本的な形態のローン契約です。
「夫が働いてお金を稼ぎ、専業主婦の妻が家庭を守る」という家族の形が一般的だった時代には、ほとんどの家庭で夫の単独名義の住宅ローンを組んでいました。
共働きで夫婦ともに十分な収入がある場合でも、単独名義でのローンを組めば世帯収入に対して余裕のある返済計画が立てられる、というメリットがあります。
夫婦で協力して住宅ローンを返しているのに、ローン契約者本人だけが家の所有権を持つことに不満を感じる人もいるかもしれません。
夫から妻へ、または妻から夫へと、不動産の名義を変更し所有権を移転すれば、たとえ夫婦の間でも贈与税が適用されます。
しかし20年以上の婚姻期間がある夫婦なら、居住用不動産の贈与について、110万円の基礎控除に加えて2,000万円まで贈与税がかからない、という特例を利用できます(夫婦間の居住用不動産贈与の特例)。
・夫または妻のどちらかに安定した収入がなくても住宅ローンを組める
・万が一、主たる債務者が死亡した場合に、ローン完済となる(団体信用生命保険)
・万が一、夫婦が離婚となった場合に、財産や権利関係を整理しやすい
・住宅ローン控除が適用されるのは契約者本人のみ
・所有権を持てるのはローン契約者本人のみ(※頭金なしの場合)
収入合算で借入れ可能額をアップさせるローンの組み方には、連帯保証型と連帯債務型の二つがあります。
このうち連帯保証型は、ローンの契約は夫か妻のどちらか一人の名義で行います。
そして契約者本人ではないもう一人は、連帯保証人として契約書にサインします。
連帯保証型の大きなメリットとして、連帯保証人を付けない場合よりも大きな金額の借入れが可能になることがあります。
夫婦のうち一人の収入だけでは審査が通らない場合でも、夫婦の収入を合算して審査すれば審査が通るかもしれません。
連帯保証人として合算できる金額は金融機関によって異なりますが、連帯保証人の収入の1/2までなどの制限が設けられています。
連帯補保証型では、ローンの契約者本人がローン全額に対して住宅ローン控除の適用を受けられます。
住宅ローン控除は借入残高に応じて控除額が決まりますが、もともと納めている税金が少ないと満額を控除しきれないこともあります。
また、適用期間が最長10年(※)に及ぶため、長期的に安定した収入がある人にメリットの大きい制度でもあります(※令和元年10月1日から令和2年12月31日までに入居した場合は最長13年)。
そのため、夫婦のうち収入が多い側、安定収入がある側の一名のみで住宅ローンを契約した方がお得なケースがあります。
夫婦のどちらかがフリーランスや非正規雇用などの収入が不安定な職種である、またはこれから育児・出産・介護などで収入が不安定になる可能性があるという時は、連帯保証型を選択し住宅ローンをフル活用できるように調整するのも一つの手です。
連帯保証型のローンを組む時に注意したいのは、万が一、夫婦が離婚に至った場合にトラブルとなりやすい点です。
基本的に、離婚の事実だけで連帯保証人から外れることはできません。
たとえば、連帯保証人となっている妻が離婚で家を出ていったとしても、その後も住んでいない家のローンの連帯保証人であり続けることになってしまいます。
夫のローン返済が滞った際には、金融機関は元妻へ返済を求めることができる状態です。
連帯保証人から外れるためには、別に新しい連帯保証人を立てる、主たる債務者のほかの資産を担保に入れるといった手間がかかり、離婚の協議を長引かせる要因となってしまいます。
・借入額を増やせる
・万が一、主たる債務者が死亡した場合にローン完済となる(団体信用生命保険)
・住宅ローン控除が適用されるのは契約者本人のみ
・所有権を持てるのはローン契約者本人のみ(※頭金なしの場合)
・万が一、夫婦が離婚した場合でも、連帯保証人から外れることが難しい
収入合算で借入れ可能額をアップさせるもう一つの方法が、連帯債務型の住宅ローンです。
連帯保証型との違いは、夫婦が二人とも契約当事者となる点です。
連帯債務者となれば収入の100%を合算できる金融機関も多く、連帯保証型より多くの借入れが可能となります。
連帯債務型の住宅ローンは、購入した家の所有権を夫婦の共有名義で登記できます。
そして夫婦ともにローン契約者なので、二人とも住宅ローン控除の適用を受けられます。
夫婦ともに十分な収入があり、妻の妊娠・出産後も同じように働き続ける予定なら、住宅ローン控除の節税メリットを最大限に生かすことができます。
連帯債務型で注意したいことの一つ目は、団体信用生命保険の取り扱いです。
連帯債務の場合でも、団体信用生命保険に加入できるのは主たる債務者一名のみとしている金融機関がほとんどです。
夫を主たる債務者とした場合を例に挙げると、夫が死亡した時は保険が適用されローンが相殺されますが、妻が死亡した時はそのままローンの返済を続けなければいけません。
夫と妻が同じような収入を得ている家庭では、世帯収入が半減しローンの返済も苦しくなることが予想されます。
連帯債務型で注意したいことの二つ目は、万が一、夫婦が離婚に至った場合に連帯債務の解消が難しい点です。
連帯保証型と同じように、離婚の事実だけでは連帯債務を解消することができません。
また、所有権が共有名義となっている家を売却するには、共有者の同意が必要です。
離婚の協議を進める上で、連帯債務の解消や家の所有権などさまざまな問題を整理する必要が出てきます。
最後に、連帯債務型のローン返済期間中に、夫婦のどちらかが仕事を辞めた場合についてお話します。
たとえば、妻が出産・育児のために退職した場合、共有持ち分に応じて妻が負担するはずだったローンの負担分を夫が代わりに返済することになります。
この時、夫が妻の代わりにローン返済をおこなった分は贈与とみなされ、贈与税が課されることがあります。
・借入額を増やせる
・所有権を夫婦二人の共有名義にできる
・住宅ローン控除の適用を二人分受けられる
・主たる債務者以外は団体信用生命保険に加入できないことがある
・万が一、夫婦が離婚した場合に、連帯債務を解消するのが難しい
・夫婦のどちらかの収入が途絶えた場合、贈与とみなされることも
夫婦それぞれの名義でローンを組み、お互いが連帯保証人となる住宅ローンの組み方が、夫婦ペアローンです。
連帯保証型、連帯債務型と比べてもより多くの借入れが可能です。
ペアローンを利用するには、夫婦のそれぞれに十分な収入があることが条件となります。
住宅ローン控除が二人ともに適用される、二人とも団体信用生命保険に加入できるなど、夫婦にそれぞれ同程度の収入がある家庭にメリットの多いローンの組み方です。
ただしローン契約が2本立てとなるため、ローン手続きの事務手数料や印紙代などの諸費用がかさむことを頭に入れておきましょう。
また、団体信用生命保険で保障されるのは、加入者名義のローン部分のみとなります。
妻が死亡した場合を例に挙げると、団体信用生命保険で相殺されるのは妻名義のローン残債のみで、夫名義のローンはその後も返済が続きます。
シングルファザーとして子育てをしながら働き続けるために時短勤務や転職を余儀なくされるなど、妻の生前と同じ収入を維持できないこともあります。
夫婦ペアローンで残されたローン返済の負担については、環境の変化も踏まえて慎重に備えておく必要があります。
・借入額を増やせる
・住宅ローン控除の適用を二人分受けられる
・夫婦のどちらも団体信用生命保険に加入できる
・事務手数料や印紙代が二重にかかる
・万が一、夫婦のどちらかが死亡した場合、もう一人の名義のローン返済が残る
収入合算や夫婦ペアローンで借入額を増やすと、当然のことですが、返済の負担もアップします。
夫婦のどちらかが死亡したり、ケガや病気で働けなくなったりすると、その後のローン返済の負担が重くのしかかるリスクがあります。
単独名義の住宅ローンでローン契約者本人が死亡した際は、団体信用生命保険の保険金でローンを完済できます。
残された家族は、ローン返済の負担なくわが家に住み続けることができます。
しかし夫婦で住宅ローンを組むと、団体信用生命保険の保障だけではその後の生活をカバーしきれないケースも出てきます。
働き手を一人失った状態でローン返済が続くリスクに備えて、団体信用生命保険以外の生命保険や収入保障保険などへの加入も検討しましょう。
金融機関によっては、連帯債務型でも夫婦ともに団体信用生命保険が可能な住宅ローンを用意しているところもあります。
収入合算や夫婦ペアローンは、購入できる家の選択肢が広がる、魅力的なローンの組み方です。
しかし、働き手のケガ・病気・死亡、妻の妊娠・出産によるライフスタイルの変化、やむを得ず離婚となってしまった場合など、世帯収入や生活環境が激変するリスクを忘れてはいけません。
単独名義で住宅ローンを組むとき以上に、無理のない返済計画や万が一の時への備えを心がけましょう。
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