住宅ローンの繰り上げ返済は行うべき?繰り上げ返済で得するためのタイミングとは

投稿日:2020年07月31日

住宅ローンの金利返済を抑えたり、返済期間を短くしたりする上で、「繰り上げ返済」は有効な手段の一つです。とはいえ、繰り上げ返済にはいくつかの方法があり、その選択や実行するタイミングによっては、想定していた効果を見込めない場合があります。

どの方法で、いつ返済すれば効果を最大化できるのでしょうか。今回は、繰り上げ返済の種類やタイミングの見極め方を中心に解説します。

 


□繰り上げ返済とは?

繰り上げ返済とは、まとまった資金ができたときに、毎月の返済とは別に支払うことで元金(借入金)を減らす方法です。元金を減らせば利息も減るため総支払額を減らせますし、予定していた返済期間を短くすることも可能です。

住宅ローンの繰り上げ返済は一般的に、早い段階で返済すると効果が大きいといわれます。
たとえば、10年目よりも5年目に、5年目よりも3年目に繰り上げ返済した方が、返済額を多く減らせます。

 


□繰り上げ返済にはどんな種類があるのか?

繰り上げ返済には、返済期間を短縮する「返済期間短縮型」と、月々の返済額を抑える「返済額軽減型」という、2種類があります。

住宅ローン利用者の多くは返済期間短縮型で繰り上げ返済をされますが、どちらを選ぶかは、それぞれの特徴を把握したうえで決めることが大切です。

 

*返済期間短縮型

毎月の返済額は変えず、完済を前倒しする繰り上げ返済です。借入期間が短くなる分、その間に支払う予定だった利息も軽減できます。

返済額は変わらないため、家計負担がすぐに改善するわけではありません。また、繰り上げ返済の額が少ないと、期間が短くならないこともあります。いくら返済すれば、どれくらい短くなるかを事前に確認することが大切です。

 

*返済額軽減型

返済期間を変えず、毎月の返済額を少なくする繰り上げ返済です。借入期間は変わらないため、利息の軽減効果は返済期間短縮型よりも小さいですが、家計の負担軽減はすぐに実感できます。

また、金利が上昇して返済額が増えた場合に、返済額軽減型なら月々の返済額を減らして家計の負担を軽くするという使い道もあります。

 


□返済期間短縮型と返済額軽減型、それぞれどんな人に向いている?

どちらのタイプを選ぶかは、住宅ローン利用者の考え方や家計状況などによっても異なります。それぞれのタイプで「向いている人」を紹介します。

 

*返済期間短縮型に向いている人

返済期間短縮型は、少しでも早く住宅ローンを完済させたい方に適しています。たとえば、定年後もローンの支払いが続く方や、早めに完済して老後の資金を蓄えたい方など、セカンドライフを見据えて選ぶ人が多いようです。

定年後も元気に働けるうちはいいですが、病気などで収入が不安定になったり、思わぬ出費が増えたりすることが予想されます。早めに完済することで、定年後の生活を楽しむための資金をつくりやすくなります。

 

*返済額軽減型に向いている人

返済額軽減型は、現状の経済的負担を軽くしたい方が利用されることが多いです。

子どもの教育費や親の介護費などで出費が増えたり、転職などで収入が減ったりすると、家計を見直す必要が出てくるでしょう。なかでも住宅ローンの支払いは、支出のなかで大きなウエイトを占めますから、返済額軽減型を選ぶことで家計の改善が期待できます。

このほか、金利上昇に伴い返済額が増えることが予想されるとき、返済額軽減型の繰り上げ返済をすることで、金利上昇前と同じ返済額に抑えることも可能です。

 


□繰り上げ返済を行う上手なタイミング

繰り上げ返済は、返済を行うタイミングも重要なポイントです。とりわけ、ローンが実行されてから10年以内に返済すると、利息分の削減効果が大きくなるといわれます。

具体的なケースで見ていきましょう。

 

*【ケース1】ローン実行から10年目と30年目で比較

100万円の繰り上げ返済を、ローン実行から10年後にする場合と30年後にする場合で、トータルの返済額を比較します。なお、借入額は3,000万円、金利は固定金利で2.0%、返済期間は35年と仮定。当初の総返済額は約4,174万円です。

 

ローン実行から10年後 ローン実行から30年後
総返済額 約4,113万円 約4,164万円
削減できる利息 約61万円 約10万円

 

10年後の方が、30年後より50万円以上の利息を減らせることがわかります。また、返済期間短縮型の場合は1年4ヵ月も前倒しできます。

 

*【ケース2】こまめにする場合と、まとめてする場合の比較

一度に多額の繰り上げ返済をするのが難しい場合、少額をこまめに返済していくという方法もあります。この二つを比較すると、どちらがお得になるのでしょうか。

ここで、ローン実行から5年後に500万円の繰り上げ返済をする場合と、1年後から5年後まで毎年100万円ずつ(合計500万円)繰り上げ返済をする場合で比べてみます。

なお、借入額は3,000万円、固定金利で1.4%、返済期間は35年と仮定。当初の総返済額は約3,797万円です。

 

毎年こまめに返済 5年後にまとめて返済
総返済額 約3,545万円 約3,570万円
削減できる利息 約252万円 約227万円

 

このように、毎年こまめに返済した方が利息削減効果は大きくなります。返済期間も、5年後にまとめて繰り上げ返済する場合は6年9ヵ月の短縮に対し、毎年こまめに繰り上げ返済する場合は7年1ヵ月と、やや短くできます。

なお、こまめに返済する場合の注意点として、金融機関によっては繰り上げ返済に手数料を設けているところもあります。返済額にもよりますが、なかには1回あたり3万円程度の手数料がかかるところもあるため、こまめに返済することがかえって支払額を増やす可能性もあります。複数回の繰り上げ返済を検討されている方は、金融機関の手数料も確認しておきましょう。

 


□繰り上げ返済をする際の注意点

金融機関の手数料以外にも、繰り上げ返済を行う場合に知っておきたい注意点があります。検討する際には、以下のこともチェックしておきましょう。

 

*住宅ローン控除の節税額と比べる

上述の通り、繰り上げ返済はローン実行から早い段階で、できれば10年以内に行うと、利息の削減効果が大きくなります。その一方で、ローン実行から10年は住宅ローン控除が適用される時期でもあります(2020年12月末までに入居した場合、控除期間は最長13年に延長されます)。

住宅ローン控除は、ローン残高の1%分を所得税から控除されるしくみのため、繰り上げ返済によってローン残高が減ると、控除額も減ることになります。場合によっては、家計の見直しを迫られる可能性もありますから、住宅ローン控除の額と比較したうえで検討することをおすすめします。

 

*繰り上げ返済額は余裕を持って決める

まとまった資金ができたからといって、それを全額繰り上げ返済に充てると、思わぬ出費に対応できない場合が考えられます。

たとえば、「病気やケガをして治療費が必要になった」「子どもの教育費が増えた」「転職などで収入が減った」といった事象が繰り上げ返済後に起きた場合でも、ゆとりをもって生活できるよう計画することも大切です。繰り上げ返済も、無理のない資金計画のもとで行いましょう。

 


□まとめ

繰り上げ返済によって生まれる利息削減効果は、借り入れしている金融機関や金利、借入期間、そして返済のタイミングなどの諸条件によっても異なります。手数料の高い金融機関で何度も繰り上げ返済をするなら、手数料が無料で金利の低い金融機関に借り換えた方がお得になることもあるでしょう。

どの程度の削減が期待できるか事前にシミュレーションをしたうえで、住宅ローンを減らしていくことが「お得な方法」といえるのです。

 

 

2020年7月31日 投稿|     
ページトップへ