住宅ローンの分割融資ってなに? つなぎ融資との違いは?

投稿日:2021年01月29日

注文住宅で家を建てる場合、まとまったお金を支払うタイミングが何回かおとずれます。

手元に十分な資金がない場合は、支払いタイミングに合わせて資金を用意しなければいけません。

そんな時に役に立つのが、住宅ローンの分割融資やつなぎ融資です。

 

注文住宅で支払いが必要なタイミング

注文住宅では、建て替えや相続ですでに土地を所有している場合を除いて、新しく土地を購入してからハウスメーカーや工務店に新築工事を依頼します。

そのため、土地の購入代金の支払い、工事代金の支払いと、最低でも2回の支払いのタイミングがあります。

工事を請け負うハウスメーカーや工務店によっては、工事代金を着工時・中間金・引渡時の3回に分けて支払う必要があります。着工時金や中間金が必要となるのは、建設中の資材の購入や人件費の支払いなどに当てるためです。

一方、マンションや建売住宅のような完成済の住宅を購入する場合は、代金の支払いは引渡時の一度きりです。

原則として、住宅ローンの融資を受けるには引渡時まで待たなければいけません。

住宅ローンは、本人や家族が居住するマイホームを担保とすることを前提に、低金利での高額な融資が実現しています。建物が完成して抵当権が設定できるようになるまでは、金融機関もなかなかお金を貸しにくいのです。

手元に十分な現金が用意されているなら良いのですが、土地の購入代金を一括で支払える人はなかなかいないと思います。

そこで、マイホームが完成するまでの資金繰りの手段として、「住宅ローンの分割融資」や「つなぎ融資」を利用することになります。

 

住宅ローンの分割融資とは?

住宅ローンの分割融資は、建物の完成前に借入額の一部を前受けできるプランで、「分割実行」ともよばれます。

ローンの契約は1本で、複数回に分けて融資を受けることが可能です。分割融資を利用することで、土地代金の支払い時と建物の完成時、また工事の着工時など、複数の支払いタイミングに合わせて資金を用意できます。

分割融資を利用して土地の購入代金を用意するには、土地購入を決めた段階で家が完成するまでのすべての費用を把握しなければいけません。購入したい土地が見つかったらハウスメーカーや工務店に工事見積と設計を依頼し、建築工事費用のあたりを付けます。

後のプラン変更やオプションの追加に備えて、予算に余裕をもってローンの審査を申し込むのがポイントです。

 

分割融資の内容とは?

分割融資は、建物が完成して抵当権が設定できるようになる前に融資が実行されます。

金融機関にとっては、貸し倒れのリスクのある融資方法といえます。

そのため、分割できる回数や融資のタイミングに制限があることがほとんどです。分割融資の回数や融資のタイミングは、金融機関によってそれぞれ異なります。

一例を挙げると、注文住宅での利用を想定して「土地の引渡時、建物の引渡時の合計2回」と決められている金融機関があります。

この場合は、購入した時に抵当権を設定することで、土地購入代金の早期融資を可能としています。

しかし、建物に先行して土地に抵当権を設定すると、登記にかかる登録免許税に住宅ローン向けの軽減税率が利用できないので注意しましょう。

住宅ローンの抵当権設定に対する税率は0.1%ですが、建物完成前に土地に抵当権を設定すると通常の0.4%の税率が適用されます。

また、分割融資を2回しか受けられない住宅ローンを利用する際は、工事の着工時金・中間金は別途用意する必要があります。

分割融資の契約内容は、金融機関によって違いがあります。

工事をお願いしたいハウスメーカーや工務店の支払いタイミングと、利用したい金融機関の分割融資のタイミングが一致するかどうか、あらかじめ確認しておきましょう。

 

金利の選択や諸経費について

分割融資の金利は、原則として実行時の住宅ローンがその都度、適用されます。

土地の引渡時の基準金利が1.5%、建物の引渡時の金利が2%に上がった場合を例に説明しましょう。このケースでは、1回目の土地代金の融資実行後、建物の引渡時までの返済に対しては金利1.5%、建物の引渡以降は残金に対して2%が適用されます。

分割融資の際の金利の選択肢は、金融機関によってさまざまです。分割融資ごとに変動金利か固定金利の選択ができるところもあれば、「固定金利は選択不可」「1回目に選択した金利タイプを継続」などのパターンがあります。

返済期間や返済タイミングについても、各金融機関で異なった対応をしています。

返済期間は1回目の融資から最長35年とする金融機関が一般的ですが、返済については、融資実行ごとに開始される金融機関と全ての融資の実行後に始まる金融機関とがあります。

分割融資実行時の手続きによって、事務手数料や契約書に添付する印紙代などの諸経費も変わります。分割融資のローン契約は1本ですが、1回目の融資で契約を行った後、2回目以降の融資実行のたびに契約を結びなおす金融機関もあります。

一方で、1回目の融資で総額のローン契約を結んだら、2回目以降は簡単な手続きのみで済む金融機関もあります。

分割融資実行時に契約を結びなおす金融機関では、その都度、事務手数料や印紙代などが必要になることを頭に入れておきましょう。

 

つなぎ融資との違いは?

注文住宅で土地代金や工事の着工時金・中間金を用意する手段として、分割融資のほかにつなぎ融資という方法もあります。

つなぎ融資は、住宅ローンとは別のローン契約を結んで建物の完成前に資金を借入れるプランです。分割融資との大きな違いは、金利の高さです。

つなぎ融資は無担保・短期融資を前提としているため、金利が高めに設定されています。また分割融資のように住宅ローンの一部ではないため、住宅ローン控除の適用もありません。

つなぎ融資で借入れた資金は、建物の引渡し時に住宅ローン本体が実行されたタイミングで一括返済します。つまり、つなぎ融資の返済資金を、住宅ローン本体で用意することとなります。

 

分割融資とつなぎ融資のメリットとデメリット比較

分割融資に比べてつなぎ融資は金利が高めに設定されていますが、メリットもあります。

分割融資のように利用回数やタイミングに制限がないため、必要なタイミングに合わせて融資を受けられます。

また、建物の完成前に土地の抵当権設定を行う必要がないため、抵当権の設定費用を抑えることができます。

 

分割融資

つなぎ融資

金利 

低い

高い

担保 

必要

(土地の抵当権設定費用がかかる)

不要

融資の回数 

決められている

自由度が高い

融資のタイミング 

決められている

自由度が高い

住宅ローン控除 

適用

適用外

団体信用生命保険 

利用可

利用不可

 

つなぎ融資と分割融資はどちらがお得?(シミュレーション)

つなぎ融資と分割融資のどちらがお得か、簡単に計算して比較しましょう。

土地購入代金が1,000万円、建物の工事代金が1,500万円のケースでシミュレーションします。

工事代金の支払いタイミングは、着工時金が3割で450万円、中間金が3割で450万円、引渡時に残金を支払うこととします。

工期は、一般的な注文住宅の工期を参考にします。

 

つなぎ融資の場合

土地代金1,000万円×利息3%÷365日×180日(6カ月)=約15万円

着工金450万円×利息3%÷365日×120日(4カ月)=約4.5万円

中間金450万円×利息3%÷365日×90日(3カ月)=約3.4万円

土地・建物の抵当権設定費用 2,500万円×0.1%(軽減税率)=2.5万円

合計 約46万円

 

分割融資の場合

土地代金1,000万円×利息1.5%÷365日×180日(6ヵ月)=約7.4万円

着工金450万円×利息1.5%÷365日×120日(4カ月)=約2.2万円

中間金450万円×利息1.5%÷365日×90日(3カ月)=約1.7万円

土地の抵当権設定費用 1,000万円×0.4%=1万円

建物の抵当権設定費用 1,500万円×0.1%(軽減税率)=1.5万円

合計 約13.8万円

実際はここに、金融機関の事務手数料や、登記設定を依頼する司法書士への支払手数料が上乗せされます。ご自身の借入れをシミュレーションする際は、ローン契約ごと、抵当権設定ごとに手数料がかかることも忘れないよう注意しましょう。

 

まとめ

分割融資やつなぎ融資の取り扱いは、金融機関ごとに大きな違いがあります。

分割融資については、分割回数や融資タイミングの自由度も金融機関でそれぞれ異なった制限があり、そもそも分割融資を行っていない金融機関もあります。

金利や手数料の負担も気になりますが、ご自身が建てたい家のプランに合わせて融資可能かどうかをポイントに金融機関を選びましょう。

工事をお願いするハウスメーカー・工務店がすでに決まっているなら、支払いタイミングに合わせて融資可能な金融機関を紹介してもらうのも一つの方法です。

ご閲覧ありがとうございます。
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