いまの年収で住宅ローンはいくら借りられる?無理のない返済額の決め方

投稿日:2020年10月26日

マイホームを検討するとき、「多額の資金をどうやって集めるか」と悩んで方もいらっしゃるのではないでしょうか。その解決策の一つが、金融機関などの提供する住宅ローンです。住宅ローンを利用することで、理想の住まいが手に入りやすくなります。

とはいえ、金融機関はいくらでも融資してくれるわけではありません。その人の年収や借入期間(返済期間)などの要素から、いくらまで貸せるかという「借入可能額」を設定しています。

今回の記事では、この借入可能額の簡易的な求め方や、年収別の借入可能額、さらには住宅ローンを利用する際の注意点などをまとめました。

 


□おおよその借入可能額の計算方法

「借入可能額」の求め方は金融機関ごとに異なるため、その求め方は一様に決まっているわけではありません。

ただし、求める際に用いる項目はある程度決まっています。一つの目安となるのが、「返済比率が25%以内」という指標です。住宅ローンの審査では、年収に応じて設定された返済比率を用い、借入可能額を決めています。

「返済比率」とは、年収に対して年間の返済額がどれくらいの割合になるかを示す数値のことで、「返済負担率」ともいわれます。

たとえば、年収400万円の人が年間返済額100万円のローンを借りる場合の返済比率は、以下のように求めます。

・100万円÷400万円=0.25(=25%)

つまり、返済比率は25%となります。

返済比率は金融機関によって異なりますが、多くのところで25%以内を目安としているようです。年収400万円なら100万円まで、500万円なら125万円までが借入可能額と考えられます。

 

*審査金利と返済期間も考慮する

上記の計算から、年収400万円の人なら年間返済額が100万円まで借り入れできるわけですから、35年ローンを組むと「100万円×35年=3,500万円」まで借入可能と、考える方もいらっしゃるでしょう。

ここで忘れてはいけないのが、金利です。3,500万円を借り入れても、返済額は3,500万円ではありません。ちなみに、3,500万円を35年間で借り入れた場合、トータル返済額は金利が1%で約4,150万円、2%だと約4,870万円にもなります。わずか1%でも返済額は数百万円も違ってきますから、慎重に選ぶことが求められます。

なお、住宅ローンの審査では金融機関が独自に設けた「審査金利」を用いて、借入可能額を算出しています。審査金利とは、将来の金利を予測して金融機関ごとに設定された金利のことで、現状の市場金利よりも高く設定されています。低金利が続く現状では、今後の返済期間中にアップすることも考えられます。審査金利は3~4%くらいに設定している金融機関が多いようです。

また、返済期間も重要なポイントです。期間が長くなれば月々の返済額を抑えられますが、利息の支払額が高くなるためトータルの返済額がアップします。なお、金融機関の審査では定年までに返済できるかという「完済時の年齢」も重視されます。必ずしも希望の返済期間がかなうわけではありませんので、承知しておきましょう。

 

*住宅ローン以外の借入状況も借入可能額に影響する

自動車ローンやカードローンなど、住宅ローンを借り入れする金融機関以外から融資を受けている方の場合、その借入状況も住宅ローン審査のチェック対象になります。

先述の通り、多くの金融機関では返済比率は25%以内が目安と紹介しましたが、このなかに、他のローンの返済額も含めて借入可能額を求めています。そうしなければ、住宅ローンの返済が滞る可能性があるからです。

借入可能額を少しでも多くしたい方は、他のローンをできるだけ返済してから住宅ローンの申し込みをされることをおすすめします。

 


□年収ごとの住宅ローン借入可能額の目安表

これまで紹介した要素を踏まえて、住宅ローンの借入可能額がいくらになるのかを年収別にシミュレーションします。

シミュレーションする際の前提条件は、以下の通りです。

・返済比率:25%
・審査金利:3%
・借入期間:35年
・他のローンの借入額:0円

この前提条件から求めた借入可能額を、以下の表にまとめました。参考までに、月々の返済予定額も示しています。

 

年収 借入可能額 月々の返済予定額
300万円 1,624万円 6万2,499円
400万円 2,165万円 8万3,320円
500万円 2,707万円 10万4,178円
600万円 3,248万円 12万4,999円
700万円 3,789万円 14万5,819円
800万円 4,331万円 16万6,678円
900万円 4,872万円 18万7,499円
1,000万円 5,413万円 20万8,319円

 

審査金利は3%でシミュレーションしましたが、年収400万円の方の場合、35年間に支払う金利手数料は約1,300万円以上にもなり、その分を差し引いた額が借入可能額(約2,165万円)となります。返済予定額は毎月8万3,320円、年間で99万9,840円ですから、トータルの返済額は約3,500万円です。

なお、上記のシミュレーションは、審査に通るための目安として算出しています。実際の返済支払額は、審査金利よりも低い市場金利が適用されるため、返済スタート時の予定額は上記よりも少なくなります。

 

*住宅ローン商品によって返済比率は異なる

返済比率は25%が目安としましたが、それ以上の比率を設定して借入可能額を増やせる住宅ローンもあります。一例を挙げると、住宅金融支援機構が提供する「フラット35」の場合、年収400万円未満の返済比率は30%、400万円以上だと35%が基準となっています。

そこで、借入期間と審査金利は上記のシミュレーションと同じとし、返済比率のみを変えた場合の借入可能額も、年収別に算出しました。

・返済比率:35%(年収300万円は30%)
・審査金利:3%
・借入期間:35年
・他のローンの借入額:0円

 

年収 借入可能額 月々の返済予定額
300万円 1,948万円 7万4,968円
400万円 3,031万円 11万6,648円
500万円 3,789万円 14万5,819円
600万円 4,547万円 17万4,991円
700万円 5,305万円 20万4,163円
800万円 6,062万円 23万3,296円
900万円 6,820万円 26万2,467円
1,000万円 7,578万円 29万1,639円

 

返済比率が10%異なると、たとえば年収500万円の人なら1,000万円以上、年収900万円の人なら2,000万円近く、借入可能額を増やせることになります。
これだけ借入可能額が増えれば、マイホームをワンランクもツーランクもアップでき、より理想の家が建てられるでしょう。


□限度額まで借り入れるリスク

借入可能額を増やせる住宅ローンを使うことは、一見するとメリットのように感じますが、借りた額は返さなければいけない点を忘れないようにしましょう。

上記のシミュレーションでいえば、年収400万円の人が返済比率35%で住宅ローンを借りた場合、毎月の返済支払額は11万6,648円、年間だと約140万円になります。

年収400万円といっても、給与所得者であればボーナスを含めての額です。仮に、月給の5ヵ月分がボーナスとした場合、ひと月の給料は約23.5万円。そのうち半分近くの11.6万円を住宅ローンの支払いに充てると、残り12万円弱で暮らしていかなければなりません。これが果たして、現実的でしょうか。

食費などの生活費をはじめ、生命保険や健康保険などの支払いもありますし、家を取得すると固定資産税などの税金も毎年かかります。お子さんがいる家庭であれば、成長するごとに教育費が増えていくでしょう。

月々の家計は赤字でも、ボーナスで穴埋めすればよいという考えもできますが、ボーナスは会社の業績によって決まるため、今よりも大きく減ることも考えられます。ましてや、不況のあおりを受けて失業したり、病気や転職などで収入が少なくなったりした場合、住宅ローンの支払いが重荷となり、家計の状況によっては返済が滞る可能性もあるでしょう。

借りられる金額と返せる金額は違います。いくら借入可能額が増やせるからといって、ギリギリまで借り入れるとリスクが大きくなることも、覚えておきたいポイントです。

 

*返済比率は25%で考えた方が安心

住宅ローンを利用するとき、もっとも重要なことは「無理なく返済できる額を借り入れること」です。

この先の人生で、どのようなことが起きるかは誰にもわかりません。ただ、子どもの教育費がどれくらい必要か、老後の生活費にいくら貯蓄すれば良いか、といったことは、ある程度の予測が立てられます。

こうした将来のシミュレーションをしたうえで、余裕をもって返済を続けていくには、返済比率は「25%以内」にするのが無難なのです。

返済額を抑えれば、貯蓄も増えていくでしょう。まとまった資金ができたら、繰り上げ返済を利用することで、支払期間を短くしたり利息が減るためトータルの返済額を減らせたりすることも可能です。

 


□年収ごとの住まい探しのポイント

返済比率を25%とした場合、現在の年収だと、どのようなマイホームを手に入れられるのでしょうか。年収別の住まいのカタチを参考までに紹介します。

 

*年収300万円の人に適した家とは?

返済比率25%の借入可能額は、約1,600万円です。土地から探す人なら郊外の土地を購入し、施工はローコストを売りにする業者に依頼するなど、物件や業者選びが限られてきます。頭金などの自己資金を親から支援してもらう、ペアローンや収入合算で借り入れできる住宅ローンを利用するなどの方法で、ワンランクアップすることも可能でしょう。

 

*年収400万円~600万円の人に適した家とは?

返済比率25%の借入可能額は、約2,100~3,200万円です。これだけ借り入れできれば、住まいの選択肢は広がるでしょう。注文住宅を建てることも可能ですが、土地から探す人の場合、駅近など便利な場所を購入すると建築費用に予算をかけられないということも考えられます。

 

*年収700万円~1,000万円の人に適した家とは?

返済比率25%の借入可能額は、約3,700~5,400万円です。好立地の土地を購入しても、建築費用に余裕があるでしょう。無理なく返済できる範囲内で住宅ローンを借り入れし、理想の住まいを手に入れましょう。なお、住宅ローン控除の上限は4,000万円です。これを超えると、節税効果が薄くなる可能性もあります。

 


□まとめ

「理想の住まい」を手に入れるため、上限額まで借り入れたいという気持ちもわかりますが、住宅ローンは返済が始まってからが本当のスタート地点。返済に追われ、いろいろ我慢しながら働き続けることは、「理想の生活」ではないはずです。

また、借入可能額は人それぞれのライフプランによっても異なります。いつ、どのような費用がかかるのかをシミュレーションした資金計画を立てることで、借入可能額も算出しやすくなるでしょう。将来を予測するのは難しいことですが、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、資金計画づくりを手伝ってもらうのも一手です。

 

 

2020年10月26日 投稿|     
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